膝についての話を長々と書いてきましたが、今回は実際に膝の痛みや違和感のある場合への整体的な対処についてお伝えします。
その前に、これまでの話を理解していただけていればおわかりになるでしょうが、基本は「体の中心に集まる力が何らかの原因で外に逃げてしまい、その力がなかなか元に戻らない状態があること」から様々な不調が現れてくる、ということです。
ですから、力が何故中心から逃げ、それがどこにどのように現れているのかを読まなければ、本質的な解決にはなりません。
アトピーの女性の例から -汗が出にくいことが原因-
第1回目に、アトピーの女性の話を取り上げました。
彼女の場合、皮膚、肺、婦人科系、また目の疲れなどが現れていましたが、それらの原因は汗が出ない体質から来ていると読み取りました。
汗が出にくいと、体温調整としての役割を腎臓が負うことになります。腎臓は血液を濾過して小便として排泄するため、必要以上に負担がかかります。その負担は胸椎10番に現れてきますが、胸椎の大きなカーブを見ると、この椎骨は胸椎の下部に位置しているので、ここに負担がかかると背中全体が下に落ちてきます。
そうなると、腰がこの力をうまく支えられなくなり、下垂してしまいます。
結局、腰が落ちてしまうことで、次はそれを支える脚部にも力が落ちてくるため、脚の中でも前後の動きしかできない膝関節で捻じってしまうことで、膝痛を発症したのでした。
疲れとストレスの問題から膝の関係を読む
2回目に登場した50代後半の男性、また3回目の同じ世代の女性の例。
実はこの方々も、疲れやストレスで、体の中心に集まっていた力が外に逃げてしまい、なかなか元に返らなかったことで、腰がその力を支えきれず、その力が脚に流れ、特に膝関節で受けてしまったものでした。
中心が崩れ、腰が支えられないことが膝痛の原因
要は、何らかの原因で疲労が強まり、中心に集まっている力が抜けてしまい、その逃げた力を腰が支えきれず、さらに脚へと落ちたことで膝に来たわけです。
よく太った人が膝を壊しやすいと言われますが、必ずしもそうとは言えません。中にはやせた人にも起こります。
たとえ太っていたとしても、体の中心に力が集まっていれば脚に負担がかかりません。ただし、鍛え方を間違えたり、疲労が抜けずに動作を行えば、力は外に逃げてしまっているので、簡単に脚や腰を傷めてしまいます。
その意味では、体格によるものではなく、あくまで体の中心に力が集まっているかが問題と言えます。
一人一人のその原因となるものを読み取るには、整体の技術が必要となります。個人ごとの操法や指導を受けることは大前提となるのは言うまでもありません。
その上で、基本を押さえた対処法が必要となってきます。
こうした整体の見方から紐解いていくことで、その対処法は膝そのものを操法するだけでなく、むしろその原因を変えていくことこそが体にとっても必要です。そのため、ここではそうした観点からの対処法をご紹介したいと思います。
続く