私達の整体では、「腕による負担」という言い方をよくします。
腕での負担?と不思議に感じるかもしれません。
でも、実際の整体の勉強や指導の現場の中で、実際に腕からの負担で体を壊すというケースを色々と見てきました。
恩師が若い頃、腕は立つのに型や構えが十分にできていないために、肺や心臓、脳血行のトラブルを招いて亡くなった仲間が結構いた、との話を伺いました。
整体の訓練では、腰や肚で取るための型、構えといったことを徹底して行います。
こうした訓練をキチンと行わず、技術の習得だけに走ったりすると、腰で取らずに腕で取ることになってしまい、胸郭や首、頭に大きな力がかかってしまうのです。
私の後輩でも、脳の血行トラブルを招き、結局その道を閉ざしてしまった者も何人かいました。
私どもの整体では、長年に渡って徹底的に型、構えの訓練を行います。
ところが実際に人を診るようになった時、ついつい取ることが先になってしまい、腰や肚で取ることを忘れたり、あるいはできないまま施術に走ってしまうと、どうしても胸郭に大きな負担がのしかかってきます。
整体操法は、患者さんに畳の上の布団に寝てもらっているので、腰や肚で取る型、構えが出来ます(写真参照)。
けれども、ベッドで施術を行う指圧やマッサージを行う療法家には、上体の力を抜いて腰で取る型というのができないため、こうした負担がかかりやすいようです。そのために多くの方がこうしたことから来る体の負担を訴えることがあると聞いています。
実は、これは整体や他の療法だけに限らず、むしろ日常生活や仕事での動作や姿勢というものともとても大きく関係しています。
腰が痛い、肩が痛い、というような問題にとどまらず、むしろもっと大きな体の負担に繋がっている、というのが整体の「人体力学」を通して見えてきます。
(続く)