「風邪を引く」のは体の「自然調整力」の働き
ここまでの記事で、私達がどうして「風邪を引く」という表現を使っているのかが、少しおわかりになられたのではないでしょうか。
体への負担がなかなか解消されずにいると、体は全力発揮できず、不自由を感じてしまいます。つまり、生きる幅が狭くなってしまっているのです。それどころか、その状態がさらに強まってしまうことで、様々な関節痛やさらには臓器にまで悪影響まで出てしまうことにも。そのため、そうした状況を一度ご破算にする必要が出てきます。ではどのようにそれを行うのか。
風邪を引くと、体の持つ免疫の働きで侵入してきたウイルスを攻撃しますが、この時に出てくるのが熱です。この発熱で、通常の風邪のウイルスはその活動が弱まり、不活化してきます。一方、この発熱によって自らの体はどんどん緩み始めてきます。咳やクシャミをするのも同様です。この結果、それまでなかなか取れなかった体の硬直した部位や体の左右差が、熱や咳、クシャミで緩んできて、元の状態へとリセットし始め、弾力のある体を取り戻してくる、といった現象が現れてくるのです。
これこそが、自らが無意識レベルで体を調整する(=整体)という、体の持つ素晴らしい働き(自然調整力)といえます。「風邪を引く」という表現を生んできたのは、こうした自分の体を調整する働きがあることを体自身がわかっているからなのでしょう。
「風邪を上手に引く」ことこそ最高の健康法
けれども、やっぱり風邪は苦しいし、つらいもの。なので、風邪を引くとすぐに薬で抑えてしまうことさえあるでしょうね。それこそ、肺炎にでもなったら大変と思われるかもしれません。
そもそも風邪を引くのは、それまでの自分自身の体の状況からくるものです。そうなる状況に至ったのは、それぞれのケースによって異なります。日々の生活の中では、心身共にストレスがかかり、それに耐えられなくなることもあるかもしれません。仕事でも同じ姿勢や動作が長く続くことで、その姿勢・動作が当たり前になってしまってることで、偏った負担が抜けなくなっていることもあるのではないでしょうか。
いやはや、私たちが生きていくということは、否が応でもそうした体の負担を無意識に積み重ねているのです。となると、それを解消するのに今度は「健康にいいこと」に走ってしまうのでは?あるいは、苦しい時についつい薬に頼ってしまい、薬やサプリメント漬けになっている人もいるかもしれません。あるいは、整体に通う?
それよりも、もっといい方法があります。それは体が本来持っている「自然調整力」という働きがありますが、その働きを鈍らせないことです。その働きこそが「風邪を上手に引く」ということなのです。そして、これまで私が指導してきた方が上手に風邪を引き経過させることで、それまで抱えていた体の問題に変化が出てくるのを山のように観てきました。
まさに「風邪を上手に引ける」ことこそ、最高の健康法とさえ言えるのです。