「整体操法」でどうして体が変わるのか
花粉症が楽になったという報告は、このケースだけではありません。整体指導に定期的に通っているうちに、いつの間にか発症しなくなった、との声はよく耳にしてきました。ただ、その方が花粉症であるかどうかで操法を行っているのではないので、当初はどうして操法を行っているとそうなってくるのだろう?と不思議に思っていたのですが、考えてみれば当たり前のことなのです。
整体法は、問診をして相手の訴える症状や不調を知った上では行いません。それでは単なる対処療法です。整体法は、人体力学的な観方をベースにして体に生じている力関係を観ていきながら、その体の特徴を感じ取ることから始まります。その方が気になる不調は、何かしらの原因からある部位に力が加わり、それが自力ではなかなか解除できず、そこから様々な症状が派生していったものなのです。
ですから、本人が症状を訴えなくても、原因を読み、体が変わる操法を行うことで、いつの間にかその症状までもが軽減されてくるのが、整体操法を行った後の経過になるわけです。ですので、継続して来られている方が「こちらに来たのは、(例えば)腰痛だったのに、実は他にも○○という症状があったのですが、まさかそれまで変わってくるとは思いませんでした」という声をよく耳にするのでしょうね。
感受性の高い体と鈍い体
今回取り上げたケースのように、整体操法で体が緩み出すきっかけとなることで、「風邪を引く」こともしばしば見受けられます。極端に言えば、整体操法は風邪を引ける状態に持っていく、つまり自律的に体が変わるための技術とも言えます。後は自然と体が勝手に変わってくるのです。その人の状況によっては、今回のようにすぐ風邪を引いて、体が変わってくることもあれば、長く通っていてもあまり変化がないこともあります。
その違いは、体の持っている感受性です。体の感受性が高ければ、操法による刺激をうまく受け入れられるのですが、鈍くなっている体ではどうしても変われないというケースもあります。
風邪は万病の元、と言われることもありますが、これは風邪を引いている最中に無理をしてしまったり、余計なことをして経過がスムースにいかなかったことも要因です。また、体の状況によっては、とても大掛かりなリセット作業となることもあります。それは、体の鈍い状態が長年にわたって続いていたことで、まるで化石化してしまった体を緩めるために、時にはそれで大崩れしてしまうことにもなりかねないのです。普段から、体の感受性を悪くする生活が続いていると、体はどうしても鈍くなってしまいます。
そして、いつかそのつけとして本格的に体を壊す大病を引き起こすことにもなります。特に脳卒中などの脳疾患が出てしまうと、体は鈍くなってしまい、なかなか風邪も引きづらくなり、リフレッシュした体に調整することも難しくなってきます。ですので、そうなる前に体の感受性を大事にすることこそが大事になってくるわけです。
感受性の良い体は、あまり大ごとにならないうちに、いつの間にか風邪を引いてサッサとリフレッシュできているので、大病に至ることは少ないでしょう。一方、鈍くなってしまった体は、ほとんど風邪を引くことがないため、体のリセットが難しく、結果として時には命の危険を伴う病にまで至ってしまうことにもなるわけです。
実は、今回の新型コロナでも同じことが言えるのです。比較的若くて元気な世代は、重症化することはあまりないのですが、高齢になるほど肺炎を併発してしまうケースが出てくるのは、こういったことも大きな要因であるからです。新型コロナは、鈍い体をまるで強引にこじ開けてくるように襲ってきます。その結果、重症化していまい、リセットできず、たとえ無事生還しても、体の機能に問題を残してしまうことにもなりかねないのです。